糖尿病の症状とは?合併症、治療法について

糖尿病の症状について

糖尿病には2種類の方があり、遺伝的体質などによって糖尿病を発症する「1型糖尿病」と、生活習慣病の一つに数えられる「2型糖尿病」に分けられます。糖尿病の患者さんのほとんどは2型に分類されています。[1]

糖尿病は1型の場合ある日突然に、2型の場合ゆっくりと気づかないうちに進行するという特徴があります。いずれにしても血糖値の管理や健康診断などが、早期発見と治療を行う際のポイントとなります。最近では糖尿病と診断はされないけれど、血糖値が高くなってきた状態を「境界型」「予備軍」と呼ぶこともあります。

・糖尿病とは?

通常、人間の血糖値は食事前(空腹時)で80mg/dL~110mg/dLほど。食事を摂って、食べ物のブドウ糖が血液中に入ると、血糖値は140mg/dLほどまで上昇します。 血糖値が140mg/dLよりもさらに高くなる状態は「高血糖」と呼ばれ、高血糖がずっと続く状態が糖尿病と呼ばれます。

血糖値が高すぎる場合にはすぐに投薬などの治療が必要となりますが、多くの場合糖尿病はゆるやかに血糖値が上昇し、生活習慣や食習慣によって高血糖が維持され、糖尿病になっていきます。

症状が軽度のうちは自覚症状がほとんどないため、知らないうちに高血糖の影響が広がっていきます。高血糖状態が何年か経過すると、合併症と呼ばれる病気やさまざまな障害が現れます。

・糖尿病の種類と原因

1型糖尿病

1型糖尿病は先天的な糖尿病の症状であり、若い人に多いという特徴があります。急に症状を発症し、糖尿病になるケースが多く、ゆるやかに進行する2型とは特徴が異なります。 膵臓からインスリンがほとんど分泌されなくなるため、常に血糖値が高い状態になります。健康を維持するためには、注射によってインスリンを定期的に補う必要があり、インスリン依存状態となります。

2型糖尿病

2型糖尿病は後天的に進行する病気であり、気付かないうちに進行することもあります。遺伝的要素もありますが、生活習慣や食生活などによりインスリンが出にくくなったり、インスリンの効きが悪くなることによって血糖値が高くなります。 食べすぎや運動不足はもちろん、肥満などの影響によっても2型糖尿病を発症しやすくなるため、注意が必要です。 血糖値をコントロールするためには、食事に加えて運動などの習慣もプラスする必要があります。それでも症状が進行してしまったら、飲み薬やインスリン注射などによってコントロールを行います。

隠れ糖尿病

隠れ糖尿病とは、食後に血糖値が上昇する人のことを指します。このタイプの方は空腹時の血糖値が正常であることが多いため、健診でも正常と診断されやすいという特徴があります[2]。 隠れ糖尿病は正式な呼び名ではなく、糖尿病予備軍として位置づけられています。 こまめな血糖コントロールが必要であることは言うまでもなく、隠れ糖尿病を放置していると本物の糖尿病に進行する可能性もあるため、早期発見と早期治療がポイントになります。

妊娠糖尿病

妊娠糖尿病は妊娠中に一時的に血糖値が高くなるトラブルですが、大きく分けて3種類に分けることができます[3]。 一般的な「妊娠糖尿病」とは、妊娠中に起きる軽度な糖代謝異常のことです。「妊娠中の明らかな糖尿病」は、妊娠以前から診断されていなかった潜在的な糖尿病、もしくは糖代謝異常のことを指します。 「糖尿病合併妊娠」とは、糖尿病に罹患している人が妊娠をした状態のことで、妊娠糖尿病とは反対のケースとなります。

予備軍とは

妊娠糖尿病は妊娠中に一時的に血糖値が高くなるトラブルですが、大きく分けて3種類に分けることができます[4]。 糖尿病とは言い切れないが高血糖である状態が続く場合、糖尿病予備軍として位置づけられます。 血糖値は空腹時血糖値・75g経口ブドウ糖負荷試験(75gOGTT)・HbA1cの3種類によって検査されますが、糖尿病予備軍の患者さんはHbA1cが6.5%未満であり、空腹時血糖値が110mg/dL~125mg/dLもしくは75gブドウ糖負荷後2時間の血糖値が140mg/dL~199mg/dLである場合を言います。 血糖値が糖尿病との境界に位置している方は、正常な人の6倍から20倍も糖尿病を発症する可能性があると言われており、生活習慣の改善などにつとめる必要があります。

・症状について

初期症状

糖尿病の初期段階ではほとんど自覚がないと言われていますが、症状の進行度によっては「喉が渇く」「水を飲むようになる」「尿量が増える」「体重の減少」「疲れやすくなる」などの症状も。 しかし、糖尿病になっていると気づかない人も多く、血糖値が高くならなければ症状に気付けないケースも多くみられます。

末期

高血糖の状態が続き、さらに血糖値が上がると、激しい喉の渇きや体調不良、さらには意識障害へと至る場合があります。この末期段階になって初めて症状を自覚するケースも少なくなく、普段から定期的な血液検査が必須となります。 また、末期段階では合併症の症状が現れやすくなるため、合併症にかかって初めて糖尿病を自覚することも。

いずれにしても、早期発見・早期治療をすることが糖尿病を改善していくためには重要です。

・合併症について

糖尿病になり、高血糖の状態が続くと、「3代合併症」と呼ばれている病気にかかりやすくなります[5]

「糖尿病網膜症」は高血糖が続くと網膜の毛細血管に障害が起きます。進行すれば失明の原因になります。末期になるまで自覚症状はほとんどありませんから、定期的な眼底検査がとても重要です。

「神経障害」は高血糖が続くと神経の働きが障害され、抹消神経障害と呼ばれる足のしびれ・冷え・攣り(つり)が起こります。

自律神経障害が起きると、排尿や排便・立ちくらみ・勃起障害など自律神経に関わるトラブルが増えるように。また足部についても、感覚低下・足潰瘍・足壊疽(えそ)など足に特有の障害が起きやすくなります。

「糖尿病腎症」は高血糖の状態が続くことで糸球体に障害をきたすものです。初期の段階では尿アルブミンが増えてきますが、合併症が悪化するにつれて尿蛋白が増えます。 腎症は進行レベルによって、前期、早期腎症期、顕性腎症期、腎不全期、透析療法期と5段階に進みます。透析療法期になると人工透析が必須となるため、できるかぎり早期の段階で治療が必要です。

糖尿病腎症にかかってしまった後は、必要に応じて人工透析という手段を用いて延命することになります。人工透析は週に約3回ほど、半日かけて透析を受けていく治療であり、治療を止めてしまうと危険です。

糖尿病腎症は末期になると人工透析を必要としますので、糖尿病と診断されないように、普段からこまめな血糖コントロールが重要となります。

・治療法について

糖尿病の治療には食事療法・運動療法薬物療法の3種類があり、初期段階では食事療法が中心に。体重が多い場合には運動療法もプラスして、適度に歩いたり体を動かすことを行います。 食事療法と運動療法で効果が見られない場合には、薬物療法を加えて血糖や血圧のコントロールを行い、合併症に進行するのを防ぎます。

・参考文献

[1]一般社団法人 日本生活習慣病予防協会『生活習慣病:糖尿病』

[2]高橋医院『かくれ糖尿病?』

[3]国立成育医療研究センター『妊娠と糖尿病』

[4]糖尿病情報センター『糖尿病予備群といわれたら』

[5]公益財団法人 東京都医学総合研究所『2.糖尿病の合併症(総論、眼合併症、腎症)』