糖尿病の治療の1つ、食事療法のコツとは?

糖尿病と診断されたら食事療法を始めよう

食生活の改善は、糖尿病を予防・改善するためにもっとも重要となるポイントです。 食事から摂取する栄養素は血糖値や血圧などを左右するため、日常生活の中で摂取する嗜好品や食品、飲料などについて注意しなければなりません。

食事バランスが乱れている人や、暴飲暴食(過食)が習慣になっている人は、糖尿病の進行を招きやすく、さらに高血圧や高脂血症などの生活習慣病も併発しやすくなります。

糖尿病を正確に判断するためには、血糖値のほかにも「HbA1c(ヘモグロビン エーワンシー)の値も調べる必要があります。

・食事療法をする理由

糖尿病の初期段階では、食事療法と運動療法が治療の基本[1]。 特に3食の食事をバランス良く栄養素を摂取しながらカロリーダウンを行うことで、ダイエット効果や、血糖値を安定させるといった効果が生まれます。薬物療法を組み合わせる場合も、食事療法をしっかりと行っておくことで健康状態が改善されるので、薬の効果が期待できるでしょう。

糖尿病の予備軍もしくは初期段階と診断された場合には、血圧を上げずに血糖値も適正な値を維持できるよう、食事に注意することが大切です。 食生活が改善できれば、長期的に見て非常に高い健康効果が生まれますし、糖尿病を悪化させずに改善していくことも可能となります。

糖尿病の初期から中期にかけては、健康状態に応じて薬物療法を組み合わせることもありますが、完全に薬に頼り切るのではなく、毎日の食事を基本として治療をしていきましょう。 病気を悪化させないためにも、普段の食事を見直し、血糖値が上がらないようにバランスを取ることが大切です。

・食事療法のポイント

適正なエネルギー量の出し方

一日に摂取できるエネルギー量を算出するには、標準体重を「身長(m)×身長(m)×22」の式で求め、その標準体重に活動量の数値を掛けあわせることで求めることが可能です。 活動量は軽度・中度・重度の3段階。軽い仕事(デスクワークや内職、家事、軽作業など)は25~30、中程度の仕事(立ち仕事や外回りなど)は30~35、重い仕事(力仕事や肉体労働など)は35~40。 中程度の仕事をしている170cmの人の場合、63.58kgが標準体重となり、そこに30~35を掛け合わせた、1907.4kcal~2225.3kcalが適正エネルギー量となります。

栄養バランスを考えて取る

糖尿病の方の食事は、栄養バランスが偏らないように配慮しなければなりません。調味料の量も普段の半分に抑えるなどして加減したり、主食を食べすぎないようにしたりするなど、食事量の配分も意識しておきたいところです。 主食を摂る場合は、炭水化物ばかりにならないように、野菜や副菜(おかず)も併せて摂るようにしましょう。副菜が炭水化物の多いものになる場合は、主食の量を減らすように工夫をします。

副菜については、ビタミンやミネラル、食物繊維の多いものが理想的です。サラダや煮物など、十分に咀嚼ができて食べ応えがあり、低カロリーのものを選ぶと良いでしょう。 ただし腎臓病などの他の既往症がある場合はミネラルの摂りすぎが健康を損なう可能性があるため、食事療法の前に医師や管理栄養士の指導を受けてください。

食品交換表について

糖尿病における食事療法は、「80kcal」を「1単位」として考える食品交換表を使用します。一日の摂取エネルギーが2000kcalである場合は、25単位ということになります。 単位に換算しながら献立を組み立てることも大切ですが、炭水化物ばかりに偏らないように、栄養バランスが均等になるよう献立を作る工夫も必要です。

食品交換表では、含有されている栄養素が似ている食品をグループごとにまとめ、全部で6グループに分類しています。 毎日の食事の際には、6つのグループからカロリー・栄養素をできるだけ均等に振り分けていくことが理想的です。

食事療法は苦しくて辛いものというイメージがありますが、食べてはならない食品はほとんどなく、デザートも分量やカロリーを守れば適度に食べることが許されています。食品交換表をみながら、栄養バランスに注意しつつ適正量を守っていきましょう。

1日3食食べること

糖尿病の食事療法においてもっとも大切なことは、3食の食事の中でバランス良く食べること。 カロリーを摂りすぎたくないからといって1食や2食を抜くことは、適切な栄養素を摂取しづらくなるばかりか、かえって空腹を招いたり、ダイエットにおけるリバウンドの原因になったりします。 そのため、3食しっかり取ることを前提に、適切なカロリー・栄養素を取るようにしましょう。

取ったほうがいい栄養素

糖尿病の場合、糖分や炭水化物は避けるべきとされますが、体のあらゆる場所で働くビタミンやミネラルなどは積極的に摂りたい栄養素となります。 また、体の老廃物を押し流してコレステロールを減らし、脂質の吸収を抑制する食物繊維についても、積極的にメニューに取り入れたいところです。

医師から病気についてとその治療の説明をよく聞いて、食事の改善も必要な時には、具体的にどのような食事内容がよいのか、調理方法はどうかなど、栄養士の指導も受けながら食事療法を進めていきましょう。

外食をする場合

外食の際には、高カロリーの1品メニューはできるだけ避けたほうが良いと言われています。単品メニューは栄養が偏りやすいので、定食のように主食以外の主菜や副菜が含まれているメニューがおすすめです。 代わりに、低カロリーの小鉢などを複数注文したり、ハーフサイズのメニューを頼んだりなどして、摂取カロリーを減らすように心掛けると効果的。

カロリーの高いメニューを選んでしまった場合には、思い切って残すか持ち帰るなどして工夫すると良いでしょう。また、低カロリーのメニューを扱っているレストランや飲食店を選ぶのも立派な食事療法になります。

食事と一緒に運動療法

外食の際には、高カロリーの1品メニューはできるだけ避けたほうが良いと言われています。単品メニューは栄養が偏りやすいので、定食のように主食以外の主菜や副菜が含まれているメニューがおすすめです。 代わりに、低カロリーの小鉢などを複数注文したり、ハーフサイズのメニューを頼んだりなどして、摂取カロリーを減らすように心掛けると効果的。

・検査の方法

糖尿病の血液検査では、通常の血糖値のほかに、10時間以上絶食した後の「空腹時血糖値」、ブドウ糖を75g摂取した後の「75g経口ブドウ糖負荷試験2時間後血糖値」の3種類を計測。また、糖尿病を発症している患者さんは、動脈硬化の進行も疑わなければならないため、血糖値だけではなく、コレステロール値なども確認します。

血糖値の検査の際には、前日の夜9時頃から絶食を指示されます。水などは最低限口にすることができますが、糖分を含むすべての食品は口にすることができません。 翌日の午前中に病院を訪れ、血糖値を測り、その後病院の用意する食事を摂ってから再度血液検査を行います。(再検査のために日にちがずれる場合もあります)

糖尿病と診断された場合には他の疾患や既往症が隠れていないかを確認するため、尿検査や頸部エコー、腹部エコー、CPR(C-ペプチド)の測定なども必要に応じて行われます。 糖尿病は生活習慣病の一つに数えられることから、生活習慣や食生活によっては脂質異常症や高血圧などを併せ持っている可能性もあり、血液や尿など幅広く検査を行うことによって疾患の有無や進行度をチェックしなければなりません。

・数値について

糖尿病の初期段階では食事療法が基本となりますが、摂取したカロリーや体についた脂肪を消費するためには運動も欠かせません。

糖尿病治療は食事だけでなく、運動を組みわせることでさらに効果が上がります。一駅分歩く、軽い散歩をする、好きなスポーツを趣味にするなど、自分に合った方法で体を動かすのがおすすめです。

・参考文献

[1]国立循環器病研究センター循環器病情報サービス『食事療法について』