糖尿病と運動療法の関係について

糖尿病と運動療法の関係について

運動療法は糖尿病の治療方法の一つで、食事療法と組み合わせるのが理想とされています[1]

食事療法だけで効果が出ない場合でも、運動療法を並行することでダイエット効果や基礎代謝量のアップなどが望めるため、効果が現れやすくなります。 運動の習慣によって体が鍛えられ、血流や基礎代謝が高く維持できるため、運動療法生活習慣病を抱えている患者さんにとって、健康を維持するのに欠かせません。

運動療法をする理由

糖尿病が進行していくと、冠動脈疾患などの重大な病気につながるおそれがあります。 しかし運動療法を加えることによってエネルギーの消費量が増えるため、生活習慣病の改善やダイエット効果、合併症の予防などの効果が。

近年では「レジスタンス運動」と呼ばれる運動療法も効果が高いとして注目されています。レジスタンス運動とは筋肉に一定の負荷をかける運動のことで、インスリン抵抗性を改善し、血糖コントロールの状態を改善するというもの。

糖尿病の初期から中期にかけては、健康状態に応じて薬物療法を組み合わせることもありますが、完全に薬に頼り切るのではなく、毎日の食事を基本として治療をしていきましょう。 病気を悪化させないためにも、普段の食事を見直し、血糖値が上がらないようにバランスを取ることが大切です。ただし、レジスタンス運動のみではなく、体に酸素を取り込む有酸素運動も含めて行うことが良いと言われています。運動療法を行う際には医師の指示にしたがって、年齢や体重、健康状態などを鑑みてメニューを決めていきましょう。

運動療法の効果

運動療法を行うことで、筋肉量が増えて体の基礎代謝量がアップします。最初のうちはウォーキングなどの簡単な運動から始めて、徐々に体を慣らしていくことによって、無理なく運動が可能です。目安としては、食後1,2時間頃に運動療法を行うことによって、食後の急激な高血糖状態が改善すると考えられており、中程度の20分~1時間程度の有酸素運動が理想的とされています。糖尿病の患者さんの場合、運動療法による糖代謝の改善は運動をしてから、12時間から72時間も持続するため、週に3回から5回程度の運動が理想的です。

運動療法の種類

有酸素運動は体に酸素を取り込む運動のことで、ウォーキングやランニングなどを指します。レジスタンス運動は筋力トレーニングなどの筋肉に負荷をかける運動を指し、自宅でダンベルなどの器具を使う運動や、ジムでのマシントレーニングなどを含みます。

糖尿病患者さんの場合、両方を無理のない範囲で行うことが重要です。体重60kgの人の場合は一日50分程度のウォーキングもしくは20分程度のジョギングで、一定の血糖コントロール効果があるとされています。

運動療法のコツ

運動療法は一気にまとめて行うものではなく、無理のないところからスタートすることがポイントです。慣れないうちは一日20分程度のウォーキングから始めて、その後30分、40分と歩行時間を増やしていくことをおすすめします。レジスタンス運動についても同様に、いきなり筋肉に負担をかけるのではなく、ジムなどでインストラクターの指導の下、正しく負荷をかけていくことをおすすめします。

注意点

運動療法は食事療法と組み合わせることで効果が現れるものです。運動をしているから何を食べても良いというわけではなく、食事療法が基盤になって初めて運動療法が効果を現します。 糖尿病の初期段階の方は、まず食事療法をしっかりと行うことが大切。その後、必要に応じて運動を加えながら、体調を整えていくことをおすすめします。

・参考文献

[1]『運動療法』糖尿病診療ガイドラインp67