木村チーム「核小体と細胞周期」
核内の構造体である核小体は、mRNAからタンパク質を翻訳する場であるリボソームの合成が行われる場所として知られていました。しかし近年では、核小体が細胞周期やストレス応答など多様な生命現象に関わっている事が知られてきています。私たちは、この核小体に局在する因子のなかで、リボソーム合成以外の役割、特に細胞周期の分裂期(M期)に関わる因子についてその機能の解析を行っています。
また、我々はPP2Aが脱リン酸化酵素としての役割以外に染色体へのタンパク質のリクルーターとしての新規機能を持つことを発見しており、PP2Aをはじめとするホスファターゼによる細胞周期の制御機構についても解析を進めたていきたいと考えています。
・ 核小体たんぱく質による細胞周期制御
私たちは、RNA干渉と呼ばれる手法を用いて、核小体に局在するタンパク質を網羅的にノックダウンし、細胞増殖に影響を与える因子のスクリーニングを行いました。その結果、いくつかの因子をノックダウンすることにより、細胞増殖を低下することが明らかになりました。これらの因子のノックダウン細胞は、細胞周期の様々な時期でアレストされたり、細胞死が引き起こされたりしました。私たちは、これらの因子のうちでp53非依存的に細胞増殖に影響が出る因子に特に注目して、その分子メカニズムを解析しています。
・ コンデンシンによる間期クロマチン構造制御
コンデンシンは、2つのSMCATPaseサブユニットと3つのnon-SMCサブユニットから構成されるタンパク質複合体で、分裂期(M期)染色体凝縮を担う因子として同定されました。近年、高等真核生物には2つのタイプのコンデンシン(コンデンシンIとコンデンシンII)が存在することがしられています。私たちは、コンデンシンがATP依存的にDNAに正の超らせんを導入する活性を持つこと(1)、この活性や染色体への局在が、種々のキナーゼやホスファターゼによってM期特異的に促進されることを見出してきました(Kimura et al. Science 1998; Takemoto et al. JBC 2004, EMBO J. 2006, Nat. Struct. & Mol. Biol. 2009)。超らせんの導入は、DNA構造をコンパクトにすることから、細胞内でのクロマチン構造変換に寄与していると考えられます。M期での役割の解析が進んでいるのに対し、間期におけるコンデンシンの役割はあまり明らかになっていません。しかし、遺伝子発現とクロマチン構造は密接に関わりあっていることはよく知られていることから、DNAへの超らせん導入活性を持つコンデンシンが、クロマチンの構造変換を介して、遺伝子発現をより高次のレベルで制御するというモデルは魅力的です。これまでの研究から、コンデンシンが間期において核小体に高濃度に局在することが明らかになっているので、核小体rDNA領域の制御機構に特に注目したいと考えています。
・ PP2Aによる細胞周期制御
PP2Aは細胞周期の制御を含めて、ほとんど全ての細胞機能に関わっています。また、癌抑制タンパク質としても知られています。我々は、PP2AがM期特異的なコンデンシンⅡの染色体への結合に必須な役割を持つことを発見しました。興味深いことに、この過程において、PP2Aは従来から知られていた脱リン酸化酵素としてではなく、染色体へのリクルーターとして機能していました(2)。さらに、PP2AはコンデンシンII以外にもKIF4aをはじめとするいくつかのタンパク質をリクルートすることがわかりました。一方で、M期の終了時にはPP2Aがコンデンシン等を脱リン酸化して染色体から解離させることがわかってきています。
本研究から、PP2Aはタンパク質の脱リン酸化とタンパク質のリクルーターとしての二つのメカニズムによりM期を制御することが示唆されました。私たちは、M期をはじめとする細胞周期進行に対するPP2Aのこれら二つの働きについて、さらに詳細に解析する予定です。また、細胞周期は発癌と密接に結びついていることから、PP2Aがどのようなメカニズムで癌を抑制しているか、分子機構の解明に結びつくことが期待されます。
(1) Kimura & Hirano, Cell 1997; Kimura et al., Cell 1999
(2) Takemoto et al. Nat. Struct. & Mol. Biol. 2009

さらに詳しい研究内容については、こちらからお問い合わせください。
←メーラーが立ち上がります。
また、我々はPP2Aが脱リン酸化酵素としての役割以外に染色体へのタンパク質のリクルーターとしての新規機能を持つことを発見しており、PP2Aをはじめとするホスファターゼによる細胞周期の制御機構についても解析を進めたていきたいと考えています。
・ 核小体たんぱく質による細胞周期制御
私たちは、RNA干渉と呼ばれる手法を用いて、核小体に局在するタンパク質を網羅的にノックダウンし、細胞増殖に影響を与える因子のスクリーニングを行いました。その結果、いくつかの因子をノックダウンすることにより、細胞増殖を低下することが明らかになりました。これらの因子のノックダウン細胞は、細胞周期の様々な時期でアレストされたり、細胞死が引き起こされたりしました。私たちは、これらの因子のうちでp53非依存的に細胞増殖に影響が出る因子に特に注目して、その分子メカニズムを解析しています。
・ コンデンシンによる間期クロマチン構造制御
コンデンシンは、2つのSMCATPaseサブユニットと3つのnon-SMCサブユニットから構成されるタンパク質複合体で、分裂期(M期)染色体凝縮を担う因子として同定されました。近年、高等真核生物には2つのタイプのコンデンシン(コンデンシンIとコンデンシンII)が存在することがしられています。私たちは、コンデンシンがATP依存的にDNAに正の超らせんを導入する活性を持つこと(1)、この活性や染色体への局在が、種々のキナーゼやホスファターゼによってM期特異的に促進されることを見出してきました(Kimura et al. Science 1998; Takemoto et al. JBC 2004, EMBO J. 2006, Nat. Struct. & Mol. Biol. 2009)。超らせんの導入は、DNA構造をコンパクトにすることから、細胞内でのクロマチン構造変換に寄与していると考えられます。M期での役割の解析が進んでいるのに対し、間期におけるコンデンシンの役割はあまり明らかになっていません。しかし、遺伝子発現とクロマチン構造は密接に関わりあっていることはよく知られていることから、DNAへの超らせん導入活性を持つコンデンシンが、クロマチンの構造変換を介して、遺伝子発現をより高次のレベルで制御するというモデルは魅力的です。これまでの研究から、コンデンシンが間期において核小体に高濃度に局在することが明らかになっているので、核小体rDNA領域の制御機構に特に注目したいと考えています。
・ PP2Aによる細胞周期制御
PP2Aは細胞周期の制御を含めて、ほとんど全ての細胞機能に関わっています。また、癌抑制タンパク質としても知られています。我々は、PP2AがM期特異的なコンデンシンⅡの染色体への結合に必須な役割を持つことを発見しました。興味深いことに、この過程において、PP2Aは従来から知られていた脱リン酸化酵素としてではなく、染色体へのリクルーターとして機能していました(2)。さらに、PP2AはコンデンシンII以外にもKIF4aをはじめとするいくつかのタンパク質をリクルートすることがわかりました。一方で、M期の終了時にはPP2Aがコンデンシン等を脱リン酸化して染色体から解離させることがわかってきています。
本研究から、PP2Aはタンパク質の脱リン酸化とタンパク質のリクルーターとしての二つのメカニズムによりM期を制御することが示唆されました。私たちは、M期をはじめとする細胞周期進行に対するPP2Aのこれら二つの働きについて、さらに詳細に解析する予定です。また、細胞周期は発癌と密接に結びついていることから、PP2Aがどのようなメカニズムで癌を抑制しているか、分子機構の解明に結びつくことが期待されます。
(1) Kimura & Hirano, Cell 1997; Kimura et al., Cell 1999
(2) Takemoto et al. Nat. Struct. & Mol. Biol. 2009
さらに詳しい研究内容については、こちらからお問い合わせください。



















